四人組はバーレーンのマナー空港からインドのムンバイに移動。島津が、
「カルディア人のバーレーン島出立はニギハヤヒ一族のプロト天の鳥船の処女航海になるね。それから、殷の時代を担った全ての倭人達のメソポタミアやペルシャ湾からの東遷の開始でもあるんだ。倭人達のオリエントからの東遷はセム族から出たユダヤ一族伸張の契機となりダビテがイスラエルを建国し、次のソロモンの時、最大版図となりタルシシ船のオーナーになり銅産地ソマリアのシバの女王ビルギースと出会い王子メリケリを生み、後の大物主王家の宗女卑弥呼の祖となるんだ。ロータル遺跡に行くのは何がいいかな」
美佳が、
「空路か鉄路でアフマダーバードに行って、後は車かな」
香苗が、
「特急で六時間、車で二時間よ」
西園寺が、
「インドが誇る鉄道で行こう」
一行はムンバイのセントラル駅に向かった。島津が、
「今夜はアフマダーバードに泊まりますか」
美佳が、
「ロータルには良い宿泊施設が無いみたいね」
香苗が、
「アフマダーバードホテルがいいんじゃない」
西園寺が、
「そうしよう、ロータルでは宝石の加工貿易もしていたんだね」
美佳が、
「光玉髄やラピスラズリの加工工場が作られていたのよ」
ロータル遺跡に立った島津が、
「カルディアの海人達が通過した後、これだけの港湾施設が何で埋もれてしまったのかな」
美佳が、
「メソポタミヤ文明、インダス文明が終焉を迎え海人達の中継貿易が終了したからよ」
香苗が、
「ロータルの南で干拓が進み港が海から遠くなり使い勝手が悪くなったのと、付近一帯が隆起しているのも要因ね」
西園寺が、
「ロータルに上陸したカルディア人のプール族は現地のメルッハ族と合体しヤードウ族を従えシャキィ族に変身、鉄鉱石を求めて内陸に入り、パンジャップ地方から南下してきたアーリア人と遭遇するんだ」
島津が、
「両者は東進しながら凡そ五百年、親睦と抗争を重ねつつインド十六国時代の揺籃期をリードしていったんだ」
美佳が、
「それが後に『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』の大叙事詩を産むのね」
香苗が、
「文明の成熟度はカルディア人シャキー族がアーリア人を上回っていたので、農耕技術や建設技術をカルディア人がアーリア人に伝授していたのよ、だけど習得が進むと共に抗争が始まったのよ」
西園寺が、
「戦いはハングリー精神の強い方が勝つんだな。それじゃ、物語の中心地デリーに行こう」
香苗が、
「アフマダーバードに戻って飛行機でデリーね」
美佳が、
「世界遺産に登録されそうな女王井戸を見たいけどインダス文明の遺跡じゃないんでパスでいいわ」