「白村江の戦い」1

 BC1世紀頃、国東半島重藤海岸段丘の野タタラでフイゴを吹いていた男に砂鉄堀が、

「もう数十年で砂鉄が枯れるぜ」

「タタラの薪で山の木も無くなりそうだ、国東の殆どがハゲ山になった」

「砂鉄か鉄鉱石の有る処を早く見付けねばな」

 二人は3500年前にソロモンが各地に派遣したフェニキア人が運行する採鉱船団タルシシ船の乗組員でヒッタイト人(後の蘇我氏)の末裔であった。その時、重藤海岸に莫大な砂鉄の堆積層を見付け『野タタラ』の製鉄基地を築き、国東の森林から大量の薪を得て、西南の風をフィイゴに活用して大量の『ナマコ鉄』を作り、同船団の乗組員であったエブス人(後の中臣氏)が中国河南省の殷文化圏など各地に売り捌きました。そして400年後、エブス人、ヒッタイト人、シュメール人、苗族達が東表国(東方のオッフルの意、トウビョウは蛇神を表す)を打ち建てます。都は宇佐八幡(ヒッタイトの都ハットウサを捩り)と名付け、タルシシ船の船長のエビス王家のクルタシロスを初代王に担ぎます。クルタシロスは世襲名となります。

 二人のヒッタイト人が資源の枯渇を嘆いている同じ頃、都では北の海の向こうの朝鮮半島に派遣した調査船の責任者がエビス王に報告していた。

「エビス王様、半島南端部東寄りに位置する洛東江の河岸に大量の鉄鉱石の鉱床が見付かりました。数百年は掘り続けられそうです」

「それは、祝着じゃ。住民の様子は」

「疎らに人家は見られますが砦や武装集団は見られません」

「タタラに使う薪は」

「洛東江の周辺で充分入手できます」

「そうか、調査ご苦労じゃった」 

 エビス王は直ちに族長達を招集し、重藤海岸製鉄基地の代替地を洛東江河岸に定め、凡そ半数が移住する手筈を整えた。建国から千年、近隣諸国から千年王朝と謳われた東表国も資源の枯渇には抗い得ず転身の始まりとなった。