美佳が、
「マレー半島のクラ地峡ね。クアラルンプールから行くしかないのかな。遠いはね。空から見ましょうよ」
香苗が、
「バンコック経由でクラ地峡の一番狭い所に近いラノーン空港行に乗れるは」
西園寺が、
「ラノーン付近では早くから運河計画があったんだよ。そのルートで行こう」
クラ地峡の上空から美佳が、
「ニギハヤヒ軍団は何故、地峡越えを選んだのかな、マラッカ海峡を通るルートもあるのに」
島津が、
「ガンジス河口を出て季節風に乗ると眼下の海域までは簡単に来れるんだ。この先のマラッカ海峡は潮の流れが速く非常に狭隘で海賊の出没等危険が多いため安全を期したのかな」
ラノーン空港に降り立って香苗が、
「クラ地峡は本当に細いはね。ニギハヤヒ軍団は向こう岸に船を集めて置いたのかな」
西園寺が、
「それは考えられるな、軍団は岸伝いに北上してメナム川の河口に入り周辺のモン族モンクメールを従えて物部族の名を与え吐火羅国建て、メコン河口に移りオケオの港からメコン流域に入り文郎国を建国したんだ。これが前七世紀になるのかな」
島津が、
「モンクメール物部氏の加入でニギハヤヒ軍団全ての顔触れが揃うんだね」
美佳が、
「天神本記に三十二神、二十五部の神と書かれた軍団を率い饒速日尊、己に天照大神の紹を奉じ、乃ち天の磐船に乗りて大虚空翔けと描かれているわね。我らもバンコックに戻ってプノンペン空港に飛びますか」
香苗が、
「プノンペン空港からホーチミン空港に行きましょう」