「日出処の天子」57

 平成二十五年五月、古代史サークルOB四人は揃って帰国、西園寺は降り立った成田空港の新聞スタンドの武豊キズナでダービー勝利の見出しに惹かれスポーツ紙を購入し空港バスに乗り込み、拡げた文化欄に船原古墳隣接地から黄金に輝く馬具出土のルポ記事を目敏く見付け、

「来週、福岡の船原古墳に行こうぜ、藤ノ木古墳で出土した馬具とそっくりだ」

 ネットを検索した島津が、

「豊国王だった二郎さんの愛用の馬具かも知れんな」

 同じ様にネットを検索していた美佳が、

「藤ノ木古墳は上宮聖徳が埋葬されたのよね。父親から譲り受けた、弾が高句麗から持ち帰った馬具ならそっくりでもおかしくないわね」

  香苗が、

「スポーツ紙の見出しキズナつながったかも、埋葬者論争が起きて結論が出ないまま国宝に指定されるのね」

 西園寺が、

「今も、シメオン族が連綿と守り続けた偽史シンジケートの伝統が健在なら、そうなるね」

 島津が、

「明治維新政府が自己保身のため明治憲法を制定し皇国史観浸透の徹底を企図し、東大国史学教授の黒板勝美が忖度し西都原の卑弥呼の円墳に変な尻尾を付け前方後円墳に改竄し神話に登場するニニギノ命の墓と強弁させるほか、日本書紀、古事記に反する史跡古文書を抹殺した行為が伝承されている」

 美佳が、

「卑弥呼も正当評価してほしいわね」

 香苗が、

「来週、船原古墳の後で西都原古墳にも行きましょう」

 西園寺が、

「それじゃ、決まりだね。今度は国内を歩こう」