「日出処の天子」64

 坂上が、

「僕はイカッサル族の話をしよう。目は茶色、BC七世紀頃、アンガ系チャム人を従えてタルシシ船でインド洋マレー海峡から北上して華北中原に入っているが、途中、ソロモンとシバの女王ビルギースとの間に生まれたメリケリ王子の血が入っているんだ。遼東で公孫氏になり大物主王家を建てます。扶余伯族のイワレヒコと同盟を結び北九州の大国主命の委奴国に侵攻し勝利し日向の西都原に安羅国を建国します。宗女卑弥呼がイワレヒコ神武の後妻に入り神武崩御後、邪馬壱国の女王になり君臨しますが狗奴国との戦いの最中に崩御しイカッサル族の手で西都原の男佐穂塚の円墳の冢に丁重に葬られます。宗女の壱与が直ちに即位し対馬に渡り任那祭祀センターを立ち上げ、神武の息子の綏靖に嫁ぎ安寧を産み倭大王になりウガヤ王家にイカッサル族の血を入れることになるんだ。太田、木村、松山、水野、今野などの姓がこの系統です」

 伊集院が、

「ユダ族はあまり来ていないんだが、ニギハヤヒに従って少し入っているよ。目は茶色。藤岡、加賀、大川の姓はこの系統なんだ」

 麗華が、

「ダン族ね。目は黒色。レビ族と一緒に渡来して、最初は河内に入り西漢と呼ばれるのよ。後に根拠地を大和の平群に移しているのよ」

 由紀が、

「最後はゼルブン族にします。目は黒。このグループの族長には葛城氏がいます。原田、石井、黒木、滝田などの姓がこの系統です」

 伊集院が、

「今日は長くなったな、疲れた。飯食いに行こうか」

 麗華が、

「サンドイッチ店、未だ開いているかな」

 坂上の携帯が鳴り、

「あっ、西園寺先輩からだ。はい、坂上です。はい、部活終わったところです。はい、大丈夫です」

 由紀が、

「先輩なに」

 坂上が、

「みんなで飯、行こうって」

 伊集院と麗華が、

「やったー」